ドールハウスの基礎知識

Dollhouse(ド−ルハウス)を直訳すれば「人形の家」。しかし人形が主語となり人形がいなければド−ルハウスと言えないのかと言うとそうではなく、これはド−ル=人形と訳した誤解によるもので、この場合のド−ルは「小さい」ことの比喩に使われているのです。
 従ってド−ルハウスはあくまで家が主体で人形は脇役、人形は居てもいなくても構わないのです。したがって、ド−ルハウスである事に要求される要素は、家を縮小した事以外に「手作りであること」・「作者の意趣が加えられていること」・「遊べること」です。
 前の二者を満足させるものには工芸品があり、後の一つには玩具があります。安易ですがこの二つを足して「工芸玩具」とします。そこで厳密には「住まいの工芸玩具」広義には「生活の場の工芸玩具」とド−ルハウスを和訳し定義すれば「人形の家」よりは落ち着いた感じとなります。
 ちなみに『遊べる』と言うのは触って大丈夫くらいの意味で幼児の玩具にするほどの堅牢さは必要有りません。ただ、発泡材で作られた建築模型や映画のミニチュア、セットの様に見せることだけを考えて作られたものは、たとえそれが小さな家であってもド−ルハウスとは言えないと言う事です。

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昔から受け継がれてきた大きさの標準値は12分の1
これは1フィ−ト(12インチ)→1インチに縮尺した市場の要求で大きさを統一する必要からこの数値となっています。
しかし個人で作る際は前後しても構わないし、アンティ−ク等見るとかなりの幅で作られています。
シュバルツの食料雑貨店

シュバルツの食料雑貨店

20世紀初頭 アメリカ製
H426×W425×D333

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ヨ−ロッパでド−ルハウスが生まれた一つの理由には貴族が自分の肖像画を飾る位の気持ちで屋敷のミニチュアを作らせたことがあるようです。
これは一種の美術工芸品と言えます。
また、記録に残る最初の家は「娘の為に作らせた」との逸話も有る事から、早い時期から教育玩具、或いは日本の雛道具の様な祝い事の道具としての用途もあったと思われます。
 時代が変わるに従い客寄せの為に実際の店のミニチュアをつくって飾る、いわば広告宣伝に用いられたもの、又、家具職人は新人の教育・訓練の為そして新しいデザイン開発の為にミニチュア家具を作り、家具のセ−ルスマンは商品サンプルとしてミニチュア家具を持ち歩いて注文を取りました。
現在では世界中の多くの人々が手芸として作り、飾り楽しまれている事はご存知の通りです。

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現在はdollhouse『ド−ルハウス』に統一されていますが、これは米語。
英語ではdoll(ド−ル)とhouse(ハウス)の間にがはいり『dolls house』となり、 日本語表現では『ド−ルズハウス』、実際の発音では『ド−ルスハウス』となります。
ミニチュアハウス、ベビ−ハウスなどと呼ばれている事もあります。

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